- 作者: 細田守
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/07/15
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
施設で育った経験のある子にこの本を読んで聞かせた。
大人から見ると楽しい絵本だけれど、傷を持った子に必要以上に刺さってしまう本もある。
その本自体が悪いということではなくて、周囲の大人が気をつけなければと感じるもの。
以前読んだ本で言えば「ルラルさんのたんじょうび」がそれにあたる。
iroiro-memo.hatenablog.com
すごくいいメッセージを伝えられる本でもあるが、施設で育った経験がある子には突き刺さるものがあるようだ。
「おおかみこども」もそんな一面があったかもしれない。
普通に暮らしている大人が見ると対して気にならない箇所。
例えばオオカミ男であるお父さんの「彼」が死んでしまう場面。
それから嵐の日、小学校に取り残された「雪」と「草平」がやり取りする会話。
お父さんの「死」の場面は、両親と別離経験のある子には、やはり注意が必要な気がする。
それと、「草平の告白」。
母緒が再婚し、赤ちゃんが生まれる。そうなったら自分はもういらなくなるというセリフ。
夜中、この本を読み聞かせた子が、珍しく突然泣き出したらしい。
それを聞いた時、「やっぱり」と思った。
本人に根ほり葉ほりは聞けないから細かい事はわからない。
この話しをすること自体が、傷をよみがえらせる行為に他ならないので確認はできない。
子どもが気に入って「読んで」と持って来た本であるが、内容を知っていれば「他の本はどう?」と促すか、もしできることならその場で文章を読み替えることも必要かもしれない。
お父さんが死んだ場面は絵がついているので変えるのは難しいけれど、草平のセリフは曖昧にすることはできたかもしれない。
いづれ本人が乗り越えなければならない問題かもしれないが、それは乗り越えられる年齢になってからの話。
保護が必要なうちは、周囲の大人の配慮も大切だなと思わされた出来事でした。