休日の昼下がり
ソファで寝ていると子どもがやってきた。
手には100均で買った小さなライトを持っている。
子ども:「くちをあけてください」
自分:「なんで?」
子ども:「はいしゃさんです。」
言うとおりに口を開けると、今度は
子ども:「めをとじてください」
目を閉じると、まぶたの上からテープを貼りだした。
これはまつ毛がなくなってしまうパターンではないか。
自分:「何してるの?」
子ども:「ライトでまぶしくないようにしています」
幸い、貼られたのはマスキングテープのようだ。簡単にはがれると思うが心配。
自分:「歯医者さんはタオルとかを目にかぶせるんじゃないの?」と、抵抗してみたが、
子ども:「むかしはテープでやってたんです」と、あっさり返された。
今度はあたまの上に何かを置かれた。
テープを貼られているので見ることはできない。感触からすると丸いプラスチック。ひもがついている。
どうやら「ぽっくり」を頭の上に置かれたようだ。
自分:「これはなんですか?」
子ども:「脳をよくするものです」
それから「肩たたき棒」で肩をたたき始めた。
子ども:「これはきもちいいものです」
歯医者なのになぜ?と思っていると、やっと「口をあけてください」と来た。
ライトで口の中を見ているようだ。確かにまぶしくはない。
しばらくすると、口の中にラムネを入れられた。
子ども:「おくすりいれました。おわりです」
治療は終了したので、マスキングテープをはがす。
幸い、まつ毛も抜けていなかった。
「むかしはこうやってた」とか「脳をよくする」とか、少し知恵がついてきたなぁと思う。