これは子供のグループホームで働いている方から聞いた子育ての順番。
クリスチャン繋がりで知り合った方だ。
グループホームとは、児童養護施設のミニ版というか、家庭環境をイメージした「家」で、虐待されて児相に保護されたこども達が暮らしている。
児童養護施設は、大きな建物に沢山の子供たちが暮らしているが、グループホームは5〜6人のこどもたちと、2〜3人の職員という小さなグループ。職員は順番で宿直している。
現在、児童養護施設は次第にグループホームにシフトしているようだ。
そこで働く職員さんが、上記タイトルの話しをしてくれた。
この順番でやらないとおかしくなるという。
最初に愛情。
次にしつけ。
その上に学習。
愛着関係がない状態でいきなり「しつけ」に入ろうとすると問題が起きるという。
こども目線で考えればそうかもしれない。
言うことを聞く理由に、相手と愛情関係もありそうだ。
「この人によろこばれたい。」とか
「嫌われたくない」とか、
「この人の言う事を聞いていれば安心だ」
という関係性の上に成立しているのだろう。
「大人の言うことを聞いていれば安全だ」というのもあるかもしれない。
自分のやりたいことと、「この人」を比較して「この人」を取ると言ったところか。
しかし、施設に来る虐待されたこどもたちには、「この人」がいない。
そんな子が急に知らない環境に放り込まれて、目の前にいる見ず知らずの大人から、いきなり「しつけ」をされたらどうだろうか?
なぜ自分のやりたいことを我慢しなくてはならないのか?
なぜこの見知らぬ大人の言うことを聞かなくてはならないのか?
そもそも大人との信頼関係を結んだことがない子もいるという。
だからまず愛着関係を結ぶ。
そして安定した関係を作った上で、「しつけ」が可能になる。
「しつけ」によって落ち着いた生活習慣が出来上がれば、その上で知的訓練が可能になるという。
現実的には施設では「愛情」と「しつけ」が同時になる場合もあるだろうが、この順番が原則だ。
しつけと虐待
昨年のクリスマスに不幸な出来事が起きた。
4歳の子が虐待により殺されてしまった。
一晩中立ったまま寝かせたり、片手腕立て伏せを強要したという。
http://www.sankei.com/west/news/171226/wst1712260022-n1.html
https://www.asahi.com/articles/ASL1H4T7JL1HPTIL00Z.html
この事件について、興味深い分析をしている記事があった。
似たような事件が立て続けに起きていることを指摘し、その共通点として
20代の若いシングルマザーと、その彼氏という構図を取り上げていた。
自分がさらに感じる構図は「しつけ」。
クリスマスの事件でも犯人たちは「しつけ」と称していた。
大人との信頼関係がない環境。
反抗期のこども。
見知らぬ大人(彼氏)による「しつけ」。
彼氏に嫌われたくないため黙認する母親。
こんな状況が重なり不幸が起きるのではないか。
ゼロから3年
職員の方からさらに二つのことを聞いた。
一つ目は施設に来た子供は何歳であっても、0歳だと思って辛抱強く接するということ。
親から放置されて施設にやってきたこどもも多い。
本来の年齢では当たり前にできるはずのことが、全然できないこともあるようだ。
二つ目は、やってきたこどもは最低3年は問題行動を取ると心せよということ。
愛情関係を作るまで3年くらいはかかるということだろうか。
「やっちゃダメ」と言われたことをわざと繰り返すとか。
「この人」の愛情を確認するための「試し行動」が続く。
そんなことを知らない「彼氏」は生意気な行動をとるこどもに「しつけ」を開始する。
反抗期の子育てに疲れた母親は、彼氏の暴力を黙認してしまう。
彼氏への依存も入っているかもしれない。
事件の背景はこんな感じか。
そういう境遇のこどもが減りますように
周囲からの助けがありますように
神の助けがありますようにと祈るばかり
できることがあればと思う。