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幸いな人生

あるクリスチャンから話を聞いた。


その人と共に教会生活を過ごした仲間の中に、医学生がいたそうですが、今も忘れることができないと話してくれました。


その医学生は6年間、家がない状態で過ごしたというのです。
家なしで一体どうやって暮らしたのだろうと思いながら聞きました。



この医学生をAさんとしておきます。


家のないAさんが、どこで寝泊まりするかというと、大学の図書館。
Aさんは地方のある大学に通っていたそうですが、図書館は24時間開放されていた大学らしく(海外の大学です)、そこで徹夜で勉強したり、仮眠したりして朝から授業。夕方はバイトで家庭教師などしていたようです。


また図書館以外では、よく教会の徹夜祈祷会にも参加していて、そこで夜を過ごしていたらしい。



医学生なので、当然医学書をたくさん持っているのですが、家はありません。


では置き場所はというと、教会の祈祷部屋。


Aさんの姿を見た教会の方が、そこへ置くようにと場所を与えてくれたという。
教会の地下に祈祷室があって、キリスト教関連の書物が並ぶ一角にAさんの医学書がズラリと並ぶコーナーがあったそうです。




教会への献金についても噂になっていたらしく、どうやら貰ったバイト代を、ほぼ手つかずのまま入れてしまっていたようだ。
Aさんは献金を袋に入れず、札束を二つ折りにして入れるという特徴があったようだが、信じられない金額が入っていると驚かれていたという。


日曜日になると主日礼拝には必ず参加し、驚いたことに教会学校の中高生クラスの先生もしていたらしく、順番でメッセージもしていたようだ。


徹夜で勉強や仮眠を繰り返しながら恐るべきパワー。


しかも年齢は30歳を過ぎていたという。


こんな感じなので、教会の女の子の中でもAさんを好きになってしまうコもいたようだ。
20歳の看護士で、とても可愛いコがいたという。


そのコは牧師に相談し、周囲からもAさんに結婚の勧めがあった様子。
相手が看護士であれば同じ業界だし、何より社会人であるからAさんの経済的支えにもなるし、住む家もできる。こんないい話しはない。


しかし、当時のAさんは結婚には全く興味がない様子で、その話を丁重に断り、6年間、家がないまま医学生として過ごしきったという。




その後、40歳でAさんは医者になった。

現在は60代になっているだろうとのこと。


Aさんと共に教会学校をした人からこの話しを聞いた。今でもAさんの姿が心に残っているという。




一見、貧しく困難な学生の話しにも聞こえるが、とても羨ましい人生。


そこまで捧げたり、賭けられるものがあることは、きっと幸せなことだと思いながら聞いた。